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セレンディピティ ブログ
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mitsouko

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わたしに法事の(夢の)話をした夜に母の容体が急に悪化し、翌朝訪ねると、ふたたび酸素マスクを着用していました。それでもまだ話もでき、食事もひと口かふた口は口に入り、コーヒーが飲みたい、と言える力も。それから日毎に力がなくなりました。アイスクリームさえ喉をとおらなくなり、声を出せなくなり、見舞客に振っていた手をあげられなくなり、指も動かせなくなり、眼を閉じたままうなずくだけになり、ついには反応できなくなり…。それでも看護師さんが言うように、ひとの声はちゃんと聞こえているようでした。

母は死ぬのかもしれない、という思い半分、今回もまた回復するはず、という思い半々で、朝8時半から夜の9時前まで、毎日ベッドの傍らで過ごしました。もし回復できないのだとしたら、傍らで死を待つだけの時間はなるべく短くしたいという思いが強く、そしてどこかでまだ希望を持っていたため、死期が近い兆候が表れるまでは装置の音しかしないシーンとした個室には移らずに、一般病室の患者さんたちの(かなり面白い)お喋りを母にも聞かせたいと思いました。そうすることでわたし自身、だいぶ気が紛れるからです。

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急変すれば個室に移し、病院からも連絡が入ることになっているので、お別れはまだまだ、と信じ、帰宅するときには母に「朝一番でくるから待っててね」とかならず声を掛けて病室を出ました。母との会話がなくなり、大半を横に座っているだけの看護が始まってから一週間目の雨の日の朝、雨でバスが遅れ、「遅くなってごめんね」と母の耳元に囁きましたが、骨と皮だけだった細い手足が腎臓の機能が低下しているせいでますますむくんでいた以外は顔色も悪くなく、看護師さんも「大きな変化はありませんでした」と…。


すぐにベッド周りのお掃除が始まり、わたしは看護師さんとお喋りをしながら邪魔にならないよう、ベッド脇を離れて病室の窓から通りを見下ろしていました。すると突然、母の変化に気づいた看護師さんが血圧計を取に病室を離れました。驚いて母の顔を見ると唇の色がその数分まえとは明らかに違っています。一瞬にして駆けつけた数人の看護師さんたちが母のベッドを囲み、「個室に移しますね」と言って手早く準備をするあいだ、わたしは廊下で待っていました。個室に入ったときには、母はすでにこと切れていたようです。

逝きたいのを夜じゅう頑張って、わたしを待っていたのです。わたしの到着を確認して、旅立ったのです。さよならも言わずに…。ペースメーカーが心臓を助けているので心臓は止まらないものの、呼吸するのが見るからに苦しそうな7日間でした。1日でも長く生きていて欲しい、と望む半面、苦しみを解いて、父と兄が待っているところへもう行かせてあげたい、という気持ちも正直ありました。3週間の闘いに、力尽きた母…。通夜に告別式に、母を荼毘にふして初七日の法要と、喪主として目の回る時間がすぎてゆきました。


ときには喧嘩もしたとはいえ、母の望みどおり、母の世話をして最期を看取る、という役割は果たせたと思いますし、母は高齢でしたから兄が他界したときのようなショックはありません。が、辛いのは発作的に襲われる寂しさです。とうとう、ひとりぼっちになってしまったわけだ、と。でも、すっかり大人になった姪と甥がこれまでになく近く感じられるようになった気がします。そしてなにより、東京と横浜から駆けつけてくれた子どもたち、しかも結婚して倍の数の4人になった子どもたちが、しっかり支えてくれました。

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うちにお仏壇はないけれど(いまは義理の姉が住む両親の元の家にあるため)、母の遺影に向かって手を合わせ、コーヒーを供え、たびたび話し掛けています。お母さん、おはよう、お母さん、おやすみなさい…と。わざわざ京都からきてもらわなければならないし、とうぜん無料サービスでもないため、中陰表どおりにお経をあげてもらわないことにお寺のご住職さまはご不満ですが、わたしは仏教徒ではないのだから、わが家に連れてきた母の魂(つまり、わたしの心のなかにいる)の供養は、そういうのでいいのではないでしょうか? 


写真は、香水をつけるようなお洒落さんではなかった母が、珍しく欲しいと言ったのは、自分と同じ名前の香水、ゲランの mitsouko …。大昔、元夫がコンサートに出るためにパリへ行ったさい、母に買ってきてくれました。結局一度も使わないままドレッサーの引き出しに何十年もしまわれたままになっていたのを、わりと最近譲り受け、わたしも引き出しにしまっています(アルコールが飛んでてとても使えない)。それと、母がお見舞いにいただいた白バラです(個室を出たら病室に生の花を飾れないので自宅に持ち帰った次第)。

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p.s.

あす531日、little moa(娘とそのダンナ+kanna で結成)がセカンドアルバムをリリース!!



あぶそる~とロンドンもよろしく。

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by serendipity_j | 2017-05-30 22:32 | ファミリー | Comments(4)
Commented by ishikoro-b at 2017-05-31 14:00
serenさま。
お母様のこと、なんと言葉をお掛けしたらよいか・・・
ご冥福を心よりお祈りいたします。
最愛の娘にちゃんと看取られて
お母様も安心して旅立たれたことでしょう。
これから日に日に寂しさがつのると思いますが
ぽっかり空いた心の隙間を、美しいお花や鳥や音楽が
満たしてくれることを信じています。
しばらくお忙しいでしょうが、どうぞご自愛くださいね。
Commented by serendipity_j at 2017-06-01 09:18
ishikoro さま

心に沁みるお優しいお言葉、ありがとうございます!

ishikoro さんとは奇遇にも、かな~り似ている境遇で、
おなじような時期に母親の入院に直面し、
以前から他人とは思えずにいますので、
そちらのごようす、いつも気になってます。
(ブログの更新がないけど、どんな状況かしら?など)

人一倍気の弱い母でしたから、
夫にも息子にも先立たれて、
とりわけ病気で倒れてからの晩年、
どれほど娘のわたしがいることを心強く思っていたか、
入院するたびに実感しました。
もっとこうしてあげればよかったのに、
という反省すべき事柄はじつに多いものの、
病気や怪我のときにはわたしが精いっぱい支えて、
最期もそばにいてあげられたことに、
後悔はありません。

昨日の夕方、久しぶりに公園へ行き、
桑の実をたくさん拾ってきました。
(今日は手を紫に染めてジャムづくり…)
こういうことが、慰めになります。

そちらもお母さまの看病がつづいていて、
精神的にも体力的にもたいへんなこととお察します。
たまには、息抜きしてくださいね。

いつの日かまた、ブログが更新される日を待ってます。
それまでは、お母さまとの時間を第一に!!
Commented by mocca-flowers at 2017-06-03 17:39
serendipityさま

ご無沙汰しています。
読んでいて、、、、、
思わずメールいたしました。
心よりお悔やみ申し上げます。

言葉があまり出てきませんが、私もとても悲しい思いになりました。
しばらくは色々考えてしまうことも多いとは思いますが、
公園のいつもの風景に癒されますように。

Commented by serendipity_j at 2017-06-05 08:40
mocca さま

お優しいお悔みのお言葉を、ありがとうございます。
そう、わたしを癒してくれるのか、やっぱりお花。
とりわけ、花好きは母の遺伝なので…。

母はお棺で花に埋もれて、旅立つことができました。
葬儀やらを終えていちばんにしたことは、
公園のお散歩です。
母の面倒をみていたり看病やらがあったときは
のんびり歩くことができなかったので、
いまは毎日、
花や木を見て、母を思い出しながら歩いています。

そのお花や木を相手にお仕事にされていることに、
尊敬の念(&少々の嫉妬)を感じずにはいられません!
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